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物流DXを推進する理由とは?実現させる解決策や企業事例を紹介

2024.09.27

物流業界では、さまざまな課題があることから、DXが推進されています。

本記事では、物流業界が抱えている課題や、物流DXが推進されている理由をご紹介します。

そのほか、物流DXを実現させるためのポイントや、実際にDXに取り組んでいる企業事例もお伝えするので、物流DXの促進を検討している企業はぜひ参考にしてください。

物流DXとは?

物流DXは、物流業界においてデジタル技術を活用し、業務プロセスやサービスを大幅に改善・革新する取り組みを指します。

従来のアナログな物流管理や運用から、IT技術やAI、IoT、ビッグデータなどを活用したデジタル化へ移行することで、効率化や顧客満足度の向上、コスト削減、持続可能な物流運営を実現することが目的です。

物流業界でDXが推進される理由

ここでは、物流業界でDXが推進される理由を5つご紹介します。

人手不足や過剰な業務量

物流業界では、特に倉庫作業や配送ドライバーといった職種で慢性的な人手不足が続いています。

高齢化が進む中で、若年労働者の確保が難しくなっており、特に重労働や長時間労働が求められる職種は敬遠されがちです。

厳しい労働環境や給与水準の低さが原因で、物流業界の離職率が高くなっています。

また、人手不足と並行して、物流業界では業務量が急激に増加しています。

ネット通販の普及により、配送の数が爆発的に増加し、倉庫や配送現場の負荷が増大しているでしょう。

消費者はより早い配送を求めており、これがさらなる作業負荷を生み出しています。

特に、当日配送や翌日配送の需要増加は、従来の物流システムに大きな負担をかけているといえるでしょう。

物流2024年問題によるトラックドライバーの労働時間制限

2024年4月から、改正された労働基準法の施行により、トラックドライバーを含む運送業の労働者に対して、時間外労働の上限が年間960時間に制限されました。

この法改正は、ドライバーの長時間労働を是正し、健康と安全を確保する目的で行われますが、物流業界にはさまざまな影響が考えられます。

トラックドライバーの残業時間が削減されると、長時間にわたる過酷な労働ができなくなり、現状の配送需要をカバーするためのドライバー不足が深刻化する恐れがあるでしょう。

トラックドライバーが限られた時間内でしか働けなくなるため、輸送能力が低下します。

この結果、特に長距離輸送や夜間輸送など、既存の物流システムが維持できない可能性があるでしょう。

ECサイトによる小口配送の増加

EC市場は年々成長を続けており、消費者がインターネットを通じて商品を購入する機会が増えています。

ECサイトでは個人消費者向けに、少量の注文を短い納期で配送することが一般的です。

従来の大口配送に比べて、小口配送が劇的に増加しています。

消費者が商品を頻繁にオンラインで注文するため配送回数が増加、特に食品や日用品などの分野では注文頻度が高く、小口配送の頻度が大幅に増えています。

また、消費者の居住地域やオフィス、集合住宅など配送先が分散しており、効率的に荷物を運ぶためのルート最適化が必要となっているのが現状です。

環境問題

物流業界は、大量の輸送に伴うエネルギー消費やCO2排出、廃棄物の発生など、環境に大きな影響を与えています。

輸送手段としてトラックや船舶、航空機が利用されますが、これらの多くは化石燃料を使用しており、大量の二酸化炭素を排出します。

特に、トラック輸送はCO2排出の大きな割合を占めており、世界的な気候変動の原因となる温室効果ガス排出削減が急務となっているでしょう。

積載率の低いトラックの運行や適切なルート選定がされていない場合などの物流の非効率な運営により、余計な燃料消費が生じます。

これがエネルギー資源の無駄遣いとなり、環境負荷を高める原因となるでしょう。

IT化の遅れやシステムの老朽化

物流業界は、効率的な運営のために情報の流れが非常に重要です。

物流業界は、輸送、保管、在庫管理、配送など多くのプロセスを持ち、またこれらが異なる企業間や地域で分散して運営されています。

そのため、統一されたITシステムを導入することが難しく、手作業での業務が依然として多く残っている状況です。

物流業界には中小企業や個人事業主が多く存在しており、これらの企業は十分なIT投資を行う資金や技術力が不足しているケースが多いです。

特に、トラック運送業者や倉庫業者などは、最新のデジタル技術を取り入れることが難しく、これがIT化の遅れにつながっています。

物流DXを実現させるための解決策

ここでは、物流DXを実現させるための解決策を5つご紹介します。

業務のデジタル化

業務のデジタル化とは、紙ベースの書類や手動の操作を、ITやデジタル技術を使って電子化し、データを自動的に処理するシステムに移行することです。

配送計画のデジタル化では、AIを活用して最適な配送ルートを自動で計算し、効率的な配車を実現します。

これにより、配送の遅延を防ぐだけでなく、燃料消費の削減やCO2排出量の削減にもつながります。

また、紙の伝票や書類をデジタル化することで、ペーパーレスな業務運営が可能になるでしょう。

電子伝票や電子インボイスを活用することで、書類の紛失や管理コストが削減され、業務のスピードアップが図れます。

在庫管理効率化や倉庫内自動化

在庫管理は、商品の入出庫、在庫状況の把握、補充計画の立案などを行うプロセスであり、これを効率化することは、無駄なコストや労力を削減し、迅速で正確な供給チェーンを確保するために非常に重要です。

例えば、倉庫内の在庫をリアルタイムで管理・追跡できるシステムを導入することで、どの商品がどこにあるかをリアルタイムで確認でき、在庫の正確性が向上するでしょう。

在庫が減少した場合、システムが自動的に発注を行うことで、過剰在庫や欠品のリスクを減少させます。

在庫データを分析し、季節ごとの需要変動や商品ごとの回転率を予測することで、効率的な在庫計画が立てられるでしょう。

また、倉庫内の自動化により、倉庫での作業を迅速化し、ヒューマンエラーを減らし、コスト削減や効率向上を図ることができます。

自動化されたシステムが指定された商品を迅速にピックアップして出荷準備を行う環境が整えば、人手での作業が大幅に削減されるでしょう。

自動化システムは人間の労働時間に依存しないため、24時間稼働が可能です。

配送ルートの最適化

配送業務は、物流の中でも特にコストがかかる部分です。

無駄な走行距離や交通渋滞、燃料費、過剰な労働時間などが発生すると、企業全体の効率が低下し、利益率が圧迫されます。

特に、ECサイトの普及により小口配送が増加し、複数の顧客に効率的に商品を届ける必要性が高まっているため、ルート最適化は物流DXの中でも重要な課題となっています。

配送ルートを最適化するためには、最新の技術を活用してデータを分析し、最も効率的な経路を自動的に計算する仕組みが必要です。

例えば、GPSを利用することで、配送車両の現在位置をリアルタイムで把握し、最適なルートを導き出すことができます。

さらに、リアルタイムでの交通情報を取得することで、渋滞を回避しながら最速のルートを選択することが可能です。

ドローン配送の導入

ドローン配送は、無人航空機を利用して荷物を運ぶシステムです。

荷物を小型のドローンに搭載し、指定された配送先まで自律的に飛行して商品を届けます。

ドローンの使用は、小型パッケージや軽量な荷物の配送に適しており、短距離や遠隔地への迅速な配送を可能にします。

また、ドローンは空中を移動するため、地上の交通渋滞や道路状況に左右されないので、都市部では時間短縮が可能になるでしょう。

顧客接点の強化

物流業界において顧客接点は、受注、配送、アフターサービスなど多岐にわたります。

顧客のニーズや期待に応えるサービスを提供することで、満足度を高められるでしょう。

良好な顧客体験が提供されることで顧客のリピート率が向上し、顧客との関係が強化されることで他社との差別化が図られ、競争力が向上します。

また、商品情報や配送状況を簡単に確認できるプラットフォームを提供することで、顧客の利便性を向上させます。

例えば、24時間対応可能なチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせに迅速に応えることができ、顧客体験の向上につながるでしょう。

物流DXに取り組んでいる企業事例

ここでは、物流DXに取り組んでいる企業事例を2つご紹介します。

キリンビール株式会社

キリンビール株式会社では、需給管理・製造計画作成アプリケーションの実装により、DX促進に取り組んでいます。

取り組んだ結果、物流コストの最適化や業務効率化を実現し、経済的価値の向上につながりました。

今回の施策に止まらないために、SCM(Supply Chain Management)部を新たに開設し、物流負荷の軽減に務めています。

そのほか、安定供給やコストの最適化を目標に活動していくためのプロジェクトも発足されました。

パナソニックホールディングス株式会社

パナソニックホールディングス株式会社は、物流DX促進を目標に現場プロセスの改革をサポートするためにデータ活用を取り入れています。

現場プロセスイノベーションが主力事業であるパナソニックホールディングス株式会社は、その一環としてサプライチェーンマネジメントにおけるデータ活用に注力しています。

サプライチェーンでは、特定領域と別の領域との関連性を見極めて課題解決することが重要視されていました。

物流領域で生じた問題の原因が物流以外にあるケースも考えられるので、テクノロジーやデータを使って課題を見つけていくことが今後の課題になっています。

まとめ

物流DXは、業務の効率化や顧客満足度の向上を図るために必要不可欠な取り組みです。

人手不足や業務量の過剰、トラックドライバーの労働時間制限、ECサイトの影響による小口配送の増加など、さまざまな課題が存在します。

これらの課題に対応するため、業務のデジタル化や在庫管理の効率化、配送ルートの最適化などの解決策が求められています。

また、実際にDXを推進している企業の事例からも、成功のヒントが得られるでしょう。

物流業界全体が持続可能な成長を遂げるために、DXの重要性がますます高まっているといえます。