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シングルサインオン(SSO)とは?導入するメリットや注意点を解説

2024.07.30

シングルサインオンとは、1度の認証プロセスで複数のソフトウェアシステムやアプリケーションにアクセスできるシステムのことです。

本記事では、シングルサインオンについて、認証方式の種類や導入するメリットをご紹介します。

そのほか、シングルサインオンを導入する時の注意点もお伝えするので、導入を検討している場合はぜひ参考にしてください。

シングルサインオン(SSO)とは?

シングルサインオンは、ユーザーが1度の認証プロセスで複数のソフトウェアシステムやアプリケーションにアクセスできる認証方式です。

SSOの主な目的は、ユーザーが複数のユーザー名やパスワードを覚える必要をなくし、利便性とセキュリティを向上させることです。

活用例としては、社内ポータルやメール、ファイル共有サービスなどの企業内システム、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのSaaSアプリケーションなどが挙げられるでしょう。

SSOを導入することで、ユーザーの利便性が向上し、セキュリティと管理の効率が改善されるため、多くの組織で採用されています。

シングルサインオンの認証方式の種類

ここでは、シングルサインオンの認証方式の種類を6つご紹介します。

エージェント方式

シングルサインオンのエージェント方式は、ユーザーがアクセスする各アプリケーションサーバーにエージェントをインストールして使用する認証方式です。

エージェントは、ユーザーの認証情報を管理し、認証を行う役割を果たします。

適用例としては、社内にあるオンプレミスのアプリケーション、高いセキュリティが求められる金融機関や政府機関などが挙げられます。

エージェント方式は、その高いセキュリティと一貫した認証プロセスが求められる場面で有効ですが、導入と運用に関するコストや複雑さを考慮する必要があるでしょう。

リバースプロキシ方式

リバースプロキシ方式は、リバースプロキシサーバーがクライアントとアプリケーションサーバーの間に配置され、ユーザーの認証とアクセス制御を行う認証方式です。

適用例としては、Webベースのアプリケーションやクラウドサービス、SaaSアプリケーションなどが挙げられます。

リバースプロキシ方式は、認証とアクセス制御を集中管理することでセキュリティと管理の効率を向上させますが、単一障害点のリスクやネットワーク遅延の課題があります。

代理認証方式

代理認証方式は、プロキシサーバーがクライアントとアプリケーションサーバーの間に立ち、認証プロセスを管理する認証方式です。

適用例としては、Webベースのアプリケーションや企業内システム、クラウドベースのサービスやSaaSアプリケーションなどが挙げられます。

代理認証方式は、認証プロセスを一元管理することでセキュリティと管理効率を向上させる利点がありますが、単一障害点やネットワーク遅延のリスクを考慮する必要があります。

フェデレーション方式

フェデレーション方式は、異なる組織やドメイン間で認証情報を共有し、ユーザーが一度のログインで複数の独立したシステムにアクセスできるようにする認証方式です。

この方式は、信頼されたアイデンティティプロバイダとサービスプロバイダの間で認証情報を交換することで成り立ちます。

適用例としては、異なる企業が協力する時に従業員が相互にサービスにアクセスできるようにするためや、学生と教職員が学外のリソースやパートナー機関のサービスなどが挙げられます。

特に、複数の独立したシステムやサービス間でシームレスなユーザー体験を提供したい場合に適しているでしょう。

透過型方式

透過型方式は、ユーザーが各アプリケーションにログインする際に、認証プロセスが自動的にバックグラウンドで行われるため、ユーザーは一度のログインで複数のアプリケーションにアクセスできる認証方式です。

特に、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために使用されます。

適用例としては、企業内アプリケーションやクラウドサービス、モバイルアプリケーションなどが挙げられます。

透過型方式は、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、シームレスなアクセスを提供するために効果的です。

しかし、実装と管理には注意が必要であり、特にセキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。

ケルベロス方式

ケルベロス方式は、対称鍵暗号方式を使用してユーザー認証を行い、信頼できる第三者であるケルベロス認証サーバーを中心に動作する認証方式です。

適用例としては、企業内ネットワークや教育機関、政府機関などが挙げられます。

ケルベロス方式は、その高いセキュリティと一貫した認証プロセスが求められる環境で非常に効果的です。

しかし、初期設定の複雑さやKDCへの依存などの課題もあり、これらを考慮して適用する必要があります。

シングルサインオンを導入するメリット

ここでは、シングルサインオンを導入するメリットを3つご紹介します。

1. 業務効率の向上

ユーザーは1度のログインで、企業内の複数のアプリケーションやシステムにアクセスできるため、頻繁なログイン操作が不要です。

そのため、業務の中断が減り作業効率が向上します。

ユーザーが覚える必要のあるパスワードの数が減り、パスワードリセットの依頼も減少するでしょう。これにより、ユーザー自身がパスワードを管理する手間が軽減され、IT部門のサポート業務の負担も軽くなります。

また、新しい従業員が入社した際にも、SSOを通じて必要な全てのアプリケーションに素早くアクセスできるようになります。

そのため、オンボーディングプロセスがスムーズに進行し、新入社員の即戦力化が促進されると考えられるでしょう。

2. ID・パスワードの管理のリソースやコストの削減

シングルサインオンを導入すると、ユーザーが覚えるパスワードの数が減るため、パスワードを忘れることが少なくなります。

その結果、パスワードリセットの依頼が減り、ITサポート部門の作業負担が軽減されるでしょう。

複数のシステムで異なるパスワードを使う場合、ユーザーが誤ったパスワードを入力してアカウントがロックされる場合がよくあります。

シングルサインオンを導入することで、こうしたアカウントロックの対応が減少し、IT部門の対応時間が削減されます。

また、すべてのユーザーIDとパスワードの管理が一元化されるようになるので、ユーザー情報の更新や管理が容易になり、管理にかかるリソースも削減されるでしょう。

3. セキュリティリスクの減少

シングルサインオンを導入すると、ユーザーは1度のログインで複数のシステムにアクセスできるため、各システムごとに異なるパスワードを設定する必要がなくなります。

そのため、ユーザーが同じパスワードを複数のシステムで使い回すリスクが減少し、セキュリティが強化されるでしょう。

シングルサインオンは、複雑で強力なパスワードポリシーを一元的に適用することができるため、全体のセキュリティレベルの向上にもつながります。

ユーザーは覚えるパスワードが1つだけになるため、より強固なパスワードを使用しやすくなるでしょう。

また、すべての認証が中央集権的に管理されるため、セキュリティポリシーの一貫性が保たれ、監査が容易になります。

認証情報の保存と管理が一元化されるため、セキュリティインシデントの発生時に迅速に対応することが可能です。

シングルサインオンを導入する時の注意点

ここでは、シングルサインオンを導入する時の注意点を3つご紹介します。

1. 不正アクセスされた時のリスクが大きい

シングルサインオンは、1度のログインで複数のシステムにアクセスできるため、攻撃者が一度認証情報を取得すれば、関連するすべてのシステムにアクセスできるようになってしまいます。

そのため、単一の認証情報の漏洩が、複数のシステムやデータへの不正アクセスにつながる恐れがあるといえるでしょう。

すべての認証情報を一元的に管理するため、そのシステム自体が攻撃の標的になりやすくなります。

システムが攻撃された場合、企業全体のセキュリティが危険にさらされるリスクがあるので、しっかり対策を打っておくことが大切です。

また、シングルサインオンに依存することで、認証システムの脆弱性や障害が、企業全体の業務に影響を及ぼすリスクがあります。

システムのダウンタイムが発生すると、すべての関連システムへのアクセスが一時的に停止し、業務の継続性が損なわれてしまうでしょう。

対策としては、シングルサインオンと組み合わせて、多要素認証を導入することがおすすめです。

多要素認証の導入により、パスワードに加えて物理的なデバイスや生体認証などの追加要素が必要となるため、不正アクセスのリスクが大幅に低減します。

そのほか、システムのバックアップを定期的に行い、障害発生時や攻撃を受けた場合のリカバリープランを策定することも推奨します。

迅速な復旧が可能な体制を整えることで、業務の継続性を確保するでしょう。

2. システムが停止するとログインできない

シングルサインオンを導入すると、ユーザーは1つの認証ポイントを通じて複数のシステムにアクセスできます。

そのため万が一、システムが停止すると、すべての関連システムへのログインが不可能になる可能性があるでしょう。

特に、企業が依存する重要なシステムやクラウドサービスにアクセスできなくなると、業務の継続性に大きな影響を与える恐れがあります。

また、SSOシステムが障害を起こした場合や定期的なメンテナンス時、それに関連するすべてのシステムへのアクセスが制限されるケースがあるでしょう。

障害の復旧時間が長引く場合、企業は生産性の低下や顧客サービスの影響を受ける可能性があります。

対策としては、冗長化やフェイルオーバー機能を導入することで、システムの可用性を高められるでしょう。

1つのサーバーが停止した場合でも、他のサーバーに自動的に切り替えることで、サービスの中断を最小限に抑えることができます。

3. 全サービスに対応しているわけではない

シングルサインオンは、異なるプロトコルや規格を使用して認証を行いますが、すべての既存のアプリケーションやサービスがこれらのプロトコルに対応しているわけではありません。

特に、古いシステムや自社開発のシステムでは、シングルサインオンに対応していないケースがあります。

企業が過去に使用していたレガシーシステムやオンプレミスのシステムは、古い認証方式を使用していることがあります。

これらのシステムをシングルサインオンに統合するためには、追加の設定やカスタマイズが必要になる場合があるでしょう。

対策としては、シングルサインオンを導入する前に、現在使用しているアプリケーションやサービスがSSOに対応しているかどうかを評価することが大切です。

シングルサインオンに対応しているアプリケーションを優先的に導入し、後から対応が難しいとされるシステムに対する対策を検討すると良いでしょう。

シングルサインオンに対応していないシステムについては、代替認証手段を提供することがおすすめです。

例えば、シングルサインオンで認証された後に、ユーザー名とパスワードによる直接ログインを許可するなどの対策が考えられます。

まとめ

シングルサインオンは、複数のアプリケーションやシステムに対して1度のログインでアクセスできる仕組みです。

認証方式としてはエージェント方式、リバースプロキシ方式、代理認証方式、フェデレーション方式、透過型方式、ケルベロス方式などがあります。

導入のメリットとしては、業務効率の向上、ID・パスワードの管理コスト削減、セキュリティリスクの低減が挙げられます。

一方、不正アクセス時のリスクやシステム停止時のログイン不可、全サービスへの対応不足といった注意点もあるので、注意点を把握した上で対策方法を考えると良いでしょう。